【精神科医が教える良質読書】時短術や、より深く知るための読書術など、読書の本質が詰まった〝頂の本〟

今回は、名越 康文先生の著書「精神科医が教える良質読書」についてご紹介します。

目次

名越 康文先生のプロフィール

名越 康文(なこし・やすふみ)

1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。

専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析などさまざまな分野で活躍中。

著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』『「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(以上、夜間飛行)、『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』(PHP新書)、などがある。

ザックリ解説

どんな人が読むべき?

  1. 自己成長したいけど、何をしたらいいのかわからない
  2. 読書は苦手だけど興味がある/何から読んだらいいのか分からない
  3. 1冊頑張って読んだけどあとが続かない

本から学べる点は?

  • 読書家並みの集中力を出す方法
  • 真に効率的な読書術
  • 良書と悪書の見分け方

どう活用する?

  • 様々なジャンルに精通することで、翻訳能力(後述)が高まり、「賢い」「面白い」と思われる。
  • 無駄な時間を省くことで、ガンガン知識をアップデートできる。
  • 読書が苦手でも一定の読書量をこなせる。または好きになってしまう。

頂の本

頂の本

「頂の本」とは、その時点の自分では読むのが難しい本のことです。
読むのが難しいということは、読み切った時には「成長している=限界を超えた」というわけです。自分ができる範囲内の事だけをしていても成長はできないと言う事ですね。

ひと通り読んでも1〜2割程度しか理解できない本が、「頂の本」にあてはまることが多いようです。
それを、時を経た自分が改めて読んだ時に、理解できる部分が増えている、その瞬間が読書の醍醐味の一つのようです。

その境地に至れるように、、、頑張ります!先生!!
まさに、今の自分では理解できない部分でした。

筋トレでも、ずっと同じ重さで続けていたって筋肉は大きくなりません。
少しずつ負荷を上げて、限界を超え続ける必要があります。

また、「頂の本」を読むことで次の効果が得られます。

  • 聴く力が伸びる
  • 自分の枠組みに気づく

「自分の理解が及ばないことを、理解しようとする姿勢」が鍛えられるので、人の話を聴くときにもしっかりと耳を傾けられるようになります。

一方、自分の枠組みの中でしか話を聴けない人は、理解しようとする姿勢がないので、成長しにくいです。

誰しも、自分の枠組みに囚われていますが、その事実に気付いたか否かの差が大きいと思っています。
人間、歳をとるほど頑固になっていく傾向にありますが、いくつになっても柔軟な思考で成長し続けられるように心がけたいですね。


エネルギーのある本

出会えたら大切にするべき本の特徴として挙げられたのが、「エネルギーのある本」です。
分かりやすさを重視したものよりも、伝える側が情熱を持って熱く語っているものの方が、興味も湧く上に、印象にも残りやすいのです。
(昨今のベストセラーには、分かりやすさを重視したものが多め)

高校時代、当時30歳ほどの情熱的な先生がいました。
その他では授業中寝てばかりだった私も、段々と化学に興味が湧き、その後の進路に直結するような得意科目となりました。

やはり情熱は伝播しますし、心が動いたときだけ、人間は能動的に行動できるんだな〜と今では思います。

速読が全てではない!?

一般的な読書術として「速読」がありますよね。
私自身、読書を始めるならまずは効率的に読書する方法を知るべきだ!と思い、Kindleで読書術の本を漁るなかで、この本に出会いました。

ところが先生は速読が全てではないとおっしゃったのです。

STEP
速読ができる
STEP
要点を的確におさえることが出来る
STEP
自分の知識の枠内で分かった気になり、サラッと読み飛ばす可能性がある

衝撃でしたね。

見方を変えれば、遅読は速読に勝るとも言える訳です。じっくり読み込めるのも長所だと。
読書経験が浅く、速読が全てと思っていた私にとっては目からウロコでしたね。

この辺りから本に没頭し、先生へのリスペクトが止まらなくなりました。

無駄な読書をしない工夫

速読ができない人は、無駄な読書をしない工夫が必要です。

「人生は日々減っている」と言う事実を、全ての人が認識はしつつも意識して行動していないからです。限られた人生の時間の中で、読める本は限られています。くだらない本を読んでいる暇はないのです。

具体的な方法としては

20ページで判断する

本を手に取り、まずは「前書きor第一章or最も興味のある章」をパラパラと20ページほど読みましょう。

この時に、

内側から突き動かされるような、面白さを感じるなら「良書」
全然面白くないなら「悪書」
その他は「普通」(→大半の本はここ)

ザックリですので、詳しく知りたい方は、先生の説得力ある文章を、直接読みましょう。
直感に従うことも重要だし、直感は経験則から磨くことが出来る、ともおっしゃってます。

良書だった場合

その著者をリスペクトし、一字一句ありがたく読み込みましょう。
速読なんて無礼です。本を著者のように扱いましょう。毎晩枕元に置きましょう。

普通だった場合

「直感力読み」をしましょう。

STEP
直感で見開き、絵のように眺める。

ある程度効率は意識しつつも、キーワードに対するアンテナは敏感にしておきましょう。

STEP
浮かんできたキーワードを繋ぐ。

重要なキーワード、見たことのないキーワードなどに重点をおくといいでしょう。
人間はその時々に飢えているキーワードを自然と見つけ出してくれるので、直感を信じましょう。

STEP
イメージが固まってくる。

この本では大体こんなことを言いたいんだろうな、というのが見えてきます。

STEP
自分の予測がつくところは飛ばす。

最大限の先入観を持って、予測しながら読みましょう。
逆に、予想が裏切られる部分が、あなたに欠けている断片的な知識です。

もし見つけたら、その前後はありがたく読み込みましょう。

悪書だった場合

購入しないこと。
もし手元にあるなら、今すぐメルカリに出品しましょう。

この「直感読み」をすることによって、時短効果が期待できるのはもちろん
キーワードを元に内容を予想・構築するため、構成力も伸ばせます。
先生の文章はものすごく構成が練られていて、読書初心者の私でも、スッと読めてしまったので、説得力がありますね。
(あえて分かりやすく書いてくださっています!)

ほかの多くの人にとって良書であっても、自分にとってはそうではないかもしれない

引用:精神科医が教える良質読書  名越康文 著

「わかる、わからない」ではなく、「面白い、面白くない」で選ぶ。
その本こそ自分にとっての良書です。

苦手でも読書を継続するための工夫

結論から言うと、集中力が続かないなら、短く区切ればいいじゃない、と言うことです。

例えば、10分ごとに読むジャンルを変える方法。
全く異なるジャンルに切り替えることで、新鮮な気持ちで読書出来るし、使う脳領域も違うのでリフレッシュできます。

10分が無理なら1分読んでみる。
それも無理なら1ページだけ読んでみる。
それも厳しければ1行だけ読む。
最悪、本やアプリを開くだけでもいい。

読書に限らず、継続のコツはスモールステップ化です。
これでもかという位、ハードルを下げまくりましょう。

私は筋トレをしたい日の目標は、「とにかくベンチに座る」ことにしています。
一旦座ってしまえば、なんとなくやる気が湧いてきて、ダンベルにも手が伸びるってもんです。
そうなればあとは動き出すだけ、筋肉が勝手に踊り始めますよ。

他(多)ジャンル並行読み

集中力が持続する以外にも、他ジャンル並行読みは様々なメリットがあります

  • 知識の幅が広がる。
  • 他ジャンルでも似たようなことがあったな、と思想を飛躍させられる。
  • 理解とは、別の言葉で言い換えられること。

ジャンル同士が相互の理解度を深めてくれるんです。

言い換えるということは翻訳できるということ。この「翻訳力」を鍛えることこそ、並行読みの真髄であり、読書の本質ではないかと思います。

先生は、「北斗の拳」と「日本神話」間でのシナジーに気付き、相互理解が深まった例を紹介していました。

つまり、知識の幅が広がるだけでなく、深さも増すということです。
賢いうえに、話の守備範囲が広いなんて、渋い男じゃないですか?

理解が及ばないものでも、面白く受け入れる姿勢が大切ですね。

1000冊読んでもバカなまま

日本人は真面目な人が多く、しっかり1冊読み通そうとします。
苦手な人がそんな読み方をしたら、読了して疲弊して、それで終わってしまいます。

読書が苦手な人にとって「読書は目的ではなく手段」です。
読むべき本を取捨選択していく必要があります。

何を得たいのか、何が解決できるのか、何が出来るようになるのか
これを意識して読書するのが、読書バカと読書家の違いなのでしょう。

おわりに

人生という限られた時間の中では、本の質により読み方を変えなければならない。
読書を効率化することで「頂の本」に出会い、読み込む時間を作らなければならない。
他ジャンル読みの重要さ。

速読を学ぼうと本書を手に取りましたが、読書術だけではなく、人生観にも影響を与えられたような感じがします。

1冊目で「頂の本」に出会えました。何から読んだらいいかわからない方は是非。

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