みなさんは、普段の生活の中で呼吸を意識していますか?
呼吸は人間にとって無くてはならないものです。
例えば、食事なら数日程度摂らなくても生きていけますが、呼吸は数分、数十秒止まれば生死に直結します。
それにも関わらず、現代人は呼吸の重要性を見落としがちです。
間違った呼吸とは知らずに続けることで、様々な体調不良に悩まされています。
あなたの抱える慢性的な症状、悩み、呼吸の乱れが原因かもしれません。
めまい、頭痛、便秘、コリ、腰痛など
この様な症状が長引いている方は、日々の呼吸が浅くなっている可能性が高いです。
呼吸が浅くなることで自律神経が乱れ、不調をきたすことは、古くから東洋では言い伝えられてきました。昨今では西洋医学的にも、呼吸の重要性について注目が集められています。
今回は、正しい呼吸の方法から、その効果と理由をまとめました。
呼吸で健康になる理由3つ
自律神経が整う
- 自律神経ってなに?
-
自分の意志とは関係なく、自動的に働く神経です。
呼吸・循環・消化・排泄など、重要な生命維持機能を調節しています。自律神経には2種類あります。
- バトルモードの交感神経(獲物を捕らえたり、天敵から逃げたりする)
- リラックスモードの副交感神経(消化、排泄など)
例えば、心臓は自分の意志で動かすことはできません。
一方、呼吸は普段は自動的に動いているにも関わらず、自分の意志でコントロールすることが可能です。つまり、呼吸は自律神経を調節するための貴重な手段なのです!
呼吸も自律神経支配を受けています。
具体的には、吸うときには交感神経が興奮し、吐くときには副交感神経が興奮します。
現代人の多くは、呼吸が浅く、ことある毎に呼吸を止めるような生活をしています。
睡眠時無呼吸などもよく耳にしますよね。
呼吸を意識していないことで、基本的には吸う側に傾いていることが多いです。
吸う側に傾くと、交感神経が興奮し、体が常にバトルモードとなります。
つまり、十分に体がリラックスできなくなり、
「疲れが抜けにくい、だるさが残りやすい」
状態になってしまうのです。
その状態で、忙しい日々を送ると、また呼吸が乱れて自律神経のバランスが崩れ・・・
こうして疲労が蓄積することによって、慢性的に不調な身体が出来上がります。
自律神経失調で悩んでいる人は少なくないと思います。
そもそも、慢性的な症状が、自律神経失調からきているという自覚がない場合がほとんどでしょう。
不定愁訴(めまい、頭痛、しびれ、耳鳴り、吐き気)とされるような症状も、
自律神経の乱れが原因であることが多いようです。
男性は30代以降、女性は40代以降になると
10年毎に副交感神経の働きが15%低下すると言われています。(交感神経はほぼ変わらない)
つまり、年齢を重ねる毎に自律神経が乱れやすくなるということです。
たとえば、女性の更年期症状。
もちろん、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が大きな要因であることは、ご存知のとおりです。
しかしエストロゲンレベルが高くても症状が出る場合もありますし、逆にエストロゲンレベルが低くても症状が出ない場合もあります。ここに自律神経のバランスが関わっている可能性があり、自律神経失調によって、更年期症状が悪化しやすいこともわかっています。
自律神経がいかに重要かは分かってもらえたかい?
そんな自律神経をコントロールできる貴重な手段が呼吸なのです!
詳しい呼吸法については後述しますが、
吸う時間よりも吐く時間を長くすることで、副交感神経のレベルを上げ、自律神経のバランスを取ります。
呼吸なら身体1つで出来る上に、やることも少し意識を変えるだけです。
自律神経まとめ
- 自律神経には、交感神経と副交感神経がある
- 呼吸の乱れによって、交感神経優位になっている場合が多い
- 自律神経のバランスが崩れると、さまざまな不調が起こる
- 呼吸をコントロールすることで、自律神経を調節できる
血流が良くなる
呼吸と血流に何の関係があるの?
呼吸と血流の仲はズブズブの関係です。
血管も自分の意志では動かせませんよね。
もちろん、血管の動きにも、自律神経の支配が関係しています。
交感神経が興奮すれば、血管は収縮します。
副交感神経が興奮すれば、血管は弛緩します。
つまり、呼吸により自律神経のバランスが整うことで、血管がリズミカルに収縮と弛緩を繰り返すようになります。
血管の役割は、身体中へ栄養を運ぶことです。
血管の動きが良くなるということは、血管のポンプ機能が高まり、血流が良くなるということです。
- 肩こり
- 浮腫み
- 冷え性
血行不良が慢性化すると、この様な症状があわられます。
原因不明のこういった症状に悩んでいる場合は、呼吸を意識することで改善されるかもしれません。
腸内環境が良くなる
呼吸を意識することで、内臓機能、特に腸内環境が改善されます。
腸は人間最大の免疫機関であり、腸内環境を整えることで免疫力を高めることもできます。
呼吸によって腸内環境が整う理由には、「自律神経」「横隔膜」が関わっています。
自律神経と腸内環境の関係
腸も自律神経によって機能が調節されています。
腸は内臓の中でも、神経細胞の数が特に多いため、自律神経の影響をダイレクトに受けます。
腸もまた、交感神経と副交感神経のバランスで、蠕動運動がコントロールされています。
現代人に多い「吸う側に傾いている呼吸」の場合、交感神経が優位になります。
その結果、蠕動運動が低下し、便秘気味になったり、栄養吸収力が低下したりします。
腸から吸収された栄養は、血液によって全身へ運ばれます。
蠕動運動の低下によって、内容物をうまく押し出せなくなり、便秘になります。
便秘になると、老廃物が腸内に長時間留まります。
その結果、腸内が、悪玉菌優位の環境になってしまいます。
腸内環境が悪化すれば、同じものを食べても、栄養の吸収効率が落ちます。
また、老廃物から出る不要な物質も、血液で全身へ運ばれてしまいます。
便秘によって「正常に老廃物を排出できない状態」では
運動能力が落ち「栄養をしっかり吸収できない状態」では、血液の質も低下します。
そんな血液が全身に巡ったら、体調を崩してしまうのも当然です。
呼吸を意識することで、副交感神経のレベルが高まります。
副交感神経が興奮すれば、腸の蠕動運動も高まり、便秘や腸内環境の改善が期待できるというわけです。
横隔膜の動きが良くなる
横隔膜とは、胸腔と腹腔の間にあるドーム状の筋肉で、最大の呼吸筋です。
息を吸うときは、広がった肺によって下へ押されています。
息を吐くときは、上へ戻ってくることで肺を押しています。
呼吸で体が膨らんだりできるのはこのおかげだな
横隔膜は深く呼吸をするほど、大きな動きをします。
横隔膜の動きによって、腸も物理的な刺激を受けて、動きが良くなります。
つまり、呼吸とは内臓のマッサージとも言えるわけです
腸内環境まとめ
呼吸によって、内側(自律神経が整う)と外側(横隔膜による腸マッサージ)から腸内環境が改善される。
完全呼吸法
世の中には、いろんな呼吸法が出回っていますが、基本的には同じです。
よく吸って、よく吐きましょうというだけです。
この完全呼吸はその原初であり完成形とも言える呼吸法で、肺の上部・中部・下部全てを使う呼吸のことを言います。
背筋をある程度伸ばすことで、空気が通りやすくなります。
この時、立っても座ってもOKです。
まずはお腹の下の方にゆっくりと空気を送り込みます。下腹部が膨らんできます。(腹式呼吸)
下腹部が膨らみきったら、その部分を凹ませましょう。
肺を支えることにより、肺の中部・上部に空気が入りやすくなります。
吸い続けると、胸・鎖骨の辺りまで膨らんでくるのがわかると思います。(胸式呼吸)
苦しくならない程度に息を止めます。
膨らみきった状態では、自然に息が出ていきます。
途中で自然と出て行かなくなるポイントがあるので、その後は息がなくなるまで、ゆっくりと吐き切ります。
これを一息で行うだけです。
複雑そうだが、すぐに慣れるぞ
鼻呼吸のメリット
完全呼吸法に限らず、呼吸をするときは、断然鼻呼吸がおすすめです。
人間や動物は、本来鼻呼吸が正しいことを本能的に知っていて、動物で口呼吸をメインにしているものはありません。
しかし人間の場合は、文明化が進むほど、口呼吸の割合が増えている様です。
それによって、さまざまな体調不良に関係していると考えられています。
一酸化窒素
鼻から空気を吸ったときの通り道「副鼻腔粘膜」から「一酸化窒素」が産生されることが分かっています。
一酸化窒素には「血管拡張」や「コレステロール低下」、「抗菌」など様々な作用があります。
血管拡張により血流が改善されれば、むくみが改善され、顔がスッキリします。
鼻呼吸で顔が変わると言われるのには、これも関係しているな
フィルター機能がある
鼻孔(鼻の穴)は、複雑に曲がりくねっている上に、鼻毛もあります。
これによって、異物は体内に入りづらくなっており、外気を温める効果もあります。
一方、口呼吸の場合は、フリーパスです。
遮るものも何もなく、外気・異物、全てそのまま体内(肺)に入り込みます。
その結果、風邪をひきやすくなります。
また、口呼吸で口の中が常に空気にさらされると、口の中が乾燥します。乾燥によって虫歯や歯周病、歯肉炎、口内炎などが起こりやすくなり、口臭も強くなる可能性があります。
口呼吸は本来、補助的なものなんだ
口呼吸では脳が休まらない
口呼吸をすることで、脳の前頭葉での酸素消費量が増えることが分かっています。
前頭葉は、思考・判断・集中力・気分のコントロールなどを司っている領域です。
ここが休まらないと、気分がすぐれなかったり、疲れが抜けず、だるかったりするわけです。
鼻呼吸のメリットというより、口呼吸のデメリットが大きいかもしれませんね。
まとめ
呼吸によって健康になれる理由と、方法を解説しました。
呼吸で健康になれる理由は、この通りです。
- 自律神経が整う
- 血流が良くなる
- 腸内環境が整う
方法は至ってシンプル。
完全呼吸法を鼻呼吸で行う
これだけで、あなたの慢性的な体調不良が改善するかもしれません。
「呼吸法」のゴールは、「普段の呼吸」に落とし込むことです。
完全呼吸を意識していると、だんだん横隔膜が鍛えられ、普段の呼吸も自然と深いものに変わっていきます。
呼吸法は呼吸を変えるためのきっかけです。
はじめは、呼吸へ少し意識を向けるだけです。
何も失うものはありません。騙されたと思って是非実践してみてください。
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